強いぜ、農家は。
カテゴリー[震災を越えて。]を新設します。
震災について、まず何を書くべきだろう。
揺れ始めた瞬間のこと、川をさかのぼってきた津波のこと、そのころ海ぎわで進行していたさらに破滅的なわざわい。
あの時刻からいままでの時系列に並ぶ、たくさんの出来事の中でいまひとつだけ書くならば、そうだ、ごはんのことがいいと思った。
もし大きな地震が来たらという話は、じつはふだんけっこうな頻度で会話されているのである。特に、何を食べるか。話の締めに、我々農家はいつもこう言って笑う。
「コメと味噌あれば、なに来たってかに来たって生きんにぃさ」
笑い話は現実のものになった。居間を片づけて、父母との3人で寝起きするスペースを確保する。電池と電灯をありったけ揃える。マイ押入れの散乱物累々と格闘し、緊急用にたくわえてあった水のペットボトルを出す。カセットコンロとボンベをセットする。コメは研がなくていい。灯油ストーブの天板に、やかんをかける。ほどなく、ごはんの炊けるにおいが、緊迫した空気をいくらかやさしくした。
間断を置かずやってくる余震。深くなってゆく闇。それらの不安を、温かく十分な量の飯と、慣れ親しんだ味噌の風味はどれだけ和らげてくれたかしれない。
そしてその後の三食、実際はコメ・味噌オンリーなどではない。電気が途絶えた冷蔵庫にあった生もの〜肉類や魚を、傷まないうちに食べる。冷凍していたものを近隣におすそ分けすると、向こうからも違う食材や菜をいただける。梅干、漬物、海苔、かつお節。ボンベが絶えても灯油ストーブがあるさ(灯油はドラム缶1本入るタンクに半分)、練炭も木炭も七輪もあるさ。
とにかく困った時は、怖い時はさあ、まず食おう。胃袋が安泰したら、次にすることが見えてくる。農家は災害のピンチに強いのだ。
震災について、まず何を書くべきだろう。
揺れ始めた瞬間のこと、川をさかのぼってきた津波のこと、そのころ海ぎわで進行していたさらに破滅的なわざわい。
あの時刻からいままでの時系列に並ぶ、たくさんの出来事の中でいまひとつだけ書くならば、そうだ、ごはんのことがいいと思った。
もし大きな地震が来たらという話は、じつはふだんけっこうな頻度で会話されているのである。特に、何を食べるか。話の締めに、我々農家はいつもこう言って笑う。
「コメと味噌あれば、なに来たってかに来たって生きんにぃさ」
笑い話は現実のものになった。居間を片づけて、父母との3人で寝起きするスペースを確保する。電池と電灯をありったけ揃える。マイ押入れの散乱物累々と格闘し、緊急用にたくわえてあった水のペットボトルを出す。カセットコンロとボンベをセットする。コメは研がなくていい。灯油ストーブの天板に、やかんをかける。ほどなく、ごはんの炊けるにおいが、緊迫した空気をいくらかやさしくした。
間断を置かずやってくる余震。深くなってゆく闇。それらの不安を、温かく十分な量の飯と、慣れ親しんだ味噌の風味はどれだけ和らげてくれたかしれない。
そしてその後の三食、実際はコメ・味噌オンリーなどではない。電気が途絶えた冷蔵庫にあった生もの〜肉類や魚を、傷まないうちに食べる。冷凍していたものを近隣におすそ分けすると、向こうからも違う食材や菜をいただける。梅干、漬物、海苔、かつお節。ボンベが絶えても灯油ストーブがあるさ(灯油はドラム缶1本入るタンクに半分)、練炭も木炭も七輪もあるさ。
とにかく困った時は、怖い時はさあ、まず食おう。胃袋が安泰したら、次にすることが見えてくる。農家は災害のピンチに強いのだ。
by kawa-usso
| 2011-03-20 19:26
| 震災を越えて。