浜の歩み。
漁師Sさんの船に乗り、海へ出る。
山に359℃を囲まれ、わずか1℃で外洋につながる袋状の海。
ぐるりから流れこむミネラルのせいか、春先に吊るした種ガキが、11月には食べごろに。
そして、外洋につながる水路の海底からは、竹竿の鉤爪で天然のカキも採る。
Sさんは、損壊したカキ筏の手入れをしている。カキの成長を邪魔するムール貝などの付着物を取り除き、ロープを吊るし直す。本来であれば、6月に「湯通し」をするはずだった。船上に湯船を載せてバーナーで湯を沸かし、60℃に保つ。それにカキを浸すとムール貝は死ぬけれど、カキは死なない。その作業が、今年はできなかった。
カキの殻を剥く加工場も流失した。オゾンと紫外線で海水を殺菌するシステムごと。三陸の浜であればどこにでも整っていたこのインフラが、おいしいカキのもうひとつの秘密だ。今年は、殻付きで出荷するしかない。それでどのくらいの金額になるのかわからないが、とにかくいま、浜に収入はないのだ。
地震自体は、誰が止められたわけでもない。辛さ悲しさ酷さは極まりないけれど、私たちが乗っかっているのは、そういう国土なのだ。公の支援は遅れに遅れ、県知事は養殖漁業権の民間開放特区をぶち上げ、県選出の財務大臣がTPPを進めようとしている。
これ以上の逆境などありえない中で、こつこつと、ひたすらこつこつと、うまいものを取り戻そうとしているこの人たちを支えられなくてどうするのだ。
山に359℃を囲まれ、わずか1℃で外洋につながる袋状の海。
ぐるりから流れこむミネラルのせいか、春先に吊るした種ガキが、11月には食べごろに。
そして、外洋につながる水路の海底からは、竹竿の鉤爪で天然のカキも採る。
Sさんは、損壊したカキ筏の手入れをしている。カキの成長を邪魔するムール貝などの付着物を取り除き、ロープを吊るし直す。本来であれば、6月に「湯通し」をするはずだった。船上に湯船を載せてバーナーで湯を沸かし、60℃に保つ。それにカキを浸すとムール貝は死ぬけれど、カキは死なない。その作業が、今年はできなかった。
カキの殻を剥く加工場も流失した。オゾンと紫外線で海水を殺菌するシステムごと。三陸の浜であればどこにでも整っていたこのインフラが、おいしいカキのもうひとつの秘密だ。今年は、殻付きで出荷するしかない。それでどのくらいの金額になるのかわからないが、とにかくいま、浜に収入はないのだ。
地震自体は、誰が止められたわけでもない。辛さ悲しさ酷さは極まりないけれど、私たちが乗っかっているのは、そういう国土なのだ。公の支援は遅れに遅れ、県知事は養殖漁業権の民間開放特区をぶち上げ、県選出の財務大臣がTPPを進めようとしている。
これ以上の逆境などありえない中で、こつこつと、ひたすらこつこつと、うまいものを取り戻そうとしているこの人たちを支えられなくてどうするのだ。
by kawa-usso
| 2011-10-21 21:22
| FOOD×風土@とうほく