「遠野馬物語」。
この投稿は、[住まいネット新聞びお]のブログ撰中、[住めば都的トウホク]にもエントリーされる、はずです。
動物と人のつきあいについて話そうか。といって多くの人が思い浮かべるのは、やっぱり犬や猫であろう。野生のヘビやサルが(裏ではワシントン条約をかいくぐって)都会のペットショップ売られている時代だから、ストライクゾーンを広げたとしても、返る言葉はいずれ「カワイイ」「一緒にいて癒される」といった狭さを出そうにない。あえてこちらから、馬というお題を出したら出したで、話は競馬に傾いていきそうな気がする。現に、フォトグラファー高草操さんが上梓したこのフォト&エッセイ集「遠野馬物語」は、新宿紀伊国屋書店で競馬のコーナーに置かれていたそうだ。著者本人が見つけてしまい、店の人に競馬とは関係ないことを伝え、棚を移動してもらったとか。微妙な気分であられたろうが(笑)、誤っている以上そのままにはしておけないのは当然のこと。
高草さんは全国の場産地や馬がいる風景をたずね、馬とその周りの自然、人にレンズを向け続けている。その中には北海道日高地方のような競争馬のメッカもあり、お住まいの東京では競馬場にも通っておられるよう。本書について言えば、本州の馬産地である岩手県遠野市に通い、農山村の暮らしの中に今も生きている馬たちを捉え、想いをつづった。
自動車や農機が発達する以前、田畑の耕起、木材の運搬、まちからまちへの荷役などは馬が頼りだった。生産に寄与しないものは速やかに切り捨てられて行くこの国で、遠野が最盛期に遠く及ばないにしても、馬産が続けられているのはなぜか。もちろんそこには、グリーンツーリズムや、馬術の競技場や競走馬の調整といった新しい価値を見出そうとする、遠野の「馬事振興プロジェクト」なるものもあるみたいだが、それはむしろ近年の動き。
伐り倒した木材を馬で搬出する「地駄曵き」や、馬糞堆肥で米を栽培するといった農的な暮らしをどこか愉しみながら続ける人たちがいる。馬に子を産ませ、育て、売買するセリ市を行う営みは、どれほど採算性があるのか当方はわからないが、決して上々ではないと確信できる(最近の第一次産業は例外なくそうだから)。それでも多少の損得は苦笑いしながら馬を飼い、丹精を込める農家や馬産家の愛着が、この本からは立ち上る。書中ではいずれ馬肉になる運命の馬にまで話が及び、必ずしも「愛しいかわいい」では済まされない、けれど馬以外の何でもなしえない暮らしと文化に、高草さんが深く、強く惹かれているような気がする。
40年近く前、日本全国の農山村にわずかながら馬がいた。他でもない当方も、学校の行き帰りに遭遇する馬車があったのだ。そうした光景は、遠野に行けば幻ではない。本書を入り口に、遠野の馬たちに会いに足を運んではどうだろう。
数十頭の馬が群れる高原で、「あぁた誰ですか〜」と自分の周りに集まってくる正真正銘の野次馬に囲まれてみようではないか。あるいは、馬が緑の丘をそれこそ風のように走っている光景を見て「おお、駈けている〜」。敬(たかし)君という青年が馬の背中に乗っているのを観て「驚いた〜」。と、素直に感動してみては。馬に関しては門外漢だけど、案内してくれそうな人なら、僕でも少しだけ知っているし。
本書の発売は1月末でした。事情によって当方の手元に届くのがひと月遅れ、ゆっくりと感想を書く時間がとれるまで数週間をかかっちった。たまっている本読まなくちゃ(汗)。
みやぎ石巻本宅<>いわて花巻別宅の行き来が地軸。自転運動は東北六県を巡る売文業[フリーライター]渡辺征治。公転にササニシキ偏愛の米農家業と、北上川でカヌーも能くしようと。NB(猫バカ)
by kawa-usso
最新のコメント
| きれいだなあ…。しかしこ.. |
| by MA-King at 00:16 |
| < にょりー(笑)。 .. |
| by kawa-usso at 14:53 |
| 初仕事。いかがなもんだっ.. |
| by 小川のりー at 09:18 |
| ワラビさま。 ご案内.. |
| by kawa-usso at 13:38 |
| いつもリンクしていただき.. |
| by ワラビ at 18:13 |
| < たぬぽん様。 実に.. |
| by kawa-usso at 09:29 |
| 遠路はるばるおつかれさま.. |
| by たぬぽん♪ at 15:52 |
| < MA-kingさま。.. |
| by kawa-usso at 18:03 |
| 10ヶ月間お疲れ様でした.. |
| by MA-King at 22:06 |
| < ワラビさま ご無沙.. |
| by kawa-usso at 13:54 |
| ご無沙汰しております。記.. |
| by ワラビ at 09:34 |
| < 竹屋tomokoさま.. |
| by kawa-usso at 11:34 |
プロフィール
一九六五年、宮城県出生、現住♂。宮手県人(宮城+岩手)、文章小売職兼米農家。自然的衣食住旅、農林漁業的現況等、報告於雑誌新聞上。謝々。
Mailは、
streambankの後に
@nifty.comです。
■とうほく小屋の写真帖
●アーカイヴ
更新はしません。すべての内容を当[blogストリームバンク]に統合しました。
■[コラムバンク]
■田と畑仕事[農と、住む。]
■イシハナ雑記帖
関係各位/Favourite様々。
■季刊[住む。](販売:農文協)
■農文協(農山漁村文化協会)
■教育ファームねっと
■住まいネット新聞[びお]
■環境goo[美しい日本の味]
■早池峰山麓[タイマグラ]
■いせフィルム-映画
[タイマグラばあちゃん]他
■森の暮らし たいまぐら便り
■タイマグラ
[フィールドノートからの便り]
■盛岡のふだんを綴る
ミニコミ誌[てくり]
■ギャラリー&ショップ[ひめくり] by [てくり]
■遠野の瓦屋[嫁っこ日記]
■盛岡ナイスな八百よろず屋
[ちいさな野菜畑]
■早池峰岳流石鳩岡神楽
■九州発まち・ムラ交流の風
[森の新聞社]
■美しき良き手仕事の品々
[工藝 藍學舎/らんがくしゃ]
■竹屋の女房さん[雑閑]
■[花のお山の焼き物屋]
■和布創作とわんこネタ
[大福日和]
■在仙台テキスタイルアトリエ
[手織りのこと 染めのこと]
■馬好きフォトグラファー
[grassの日々折々]
■茅葺き屋根の文化をつくる
[有限会社 熊谷産業]
■森まゆみblog[くまのかたこと]
■鳴子の米プロジェクト
■風土倶楽部
■日々の新聞社
■無明舎出版
Mailは、
streambankの後に
@nifty.comです。
■とうほく小屋の写真帖
●アーカイヴ
更新はしません。すべての内容を当[blogストリームバンク]に統合しました。
■[コラムバンク]
■田と畑仕事[農と、住む。]
■イシハナ雑記帖
関係各位/Favourite様々。
■季刊[住む。](販売:農文協)
■農文協(農山漁村文化協会)
■教育ファームねっと
■住まいネット新聞[びお]
■環境goo[美しい日本の味]
■早池峰山麓[タイマグラ]
■いせフィルム-映画
[タイマグラばあちゃん]他
■森の暮らし たいまぐら便り
■タイマグラ
[フィールドノートからの便り]
■盛岡のふだんを綴る
ミニコミ誌[てくり]
■ギャラリー&ショップ[ひめくり] by [てくり]
■遠野の瓦屋[嫁っこ日記]
■盛岡ナイスな八百よろず屋
[ちいさな野菜畑]
■早池峰岳流石鳩岡神楽
■九州発まち・ムラ交流の風
[森の新聞社]
■美しき良き手仕事の品々
[工藝 藍學舎/らんがくしゃ]
■竹屋の女房さん[雑閑]
■[花のお山の焼き物屋]
■和布創作とわんこネタ
[大福日和]
■在仙台テキスタイルアトリエ
[手織りのこと 染めのこと]
■馬好きフォトグラファー
[grassの日々折々]
■茅葺き屋根の文化をつくる
[有限会社 熊谷産業]
■森まゆみblog[くまのかたこと]
■鳴子の米プロジェクト
■風土倶楽部
■日々の新聞社
■無明舎出版
お気に入りブログ
カテゴリ
全体FOOD×風土@とうほく
酒、肴、菜、飯。
手の仕事、表現。
住めば都的トウホク。
NB(猫バカ)&生きもの。
本の話題と掲載誌。
クルマ、ギア、グッズ。。
私立 東北雑貨屋研究所
農都共棲(農と住む)。
花巻小屋とカヌー。
宮手県の風景。
震災を越えて。
いま田んぼでは2012。
いま田んぼでは2011。
いま畑では2011。
雑感、いろいろ。
いま畑では2010。
いま田んぼでは2010。
いま畑では09。
いま田んぼでは09。
教育ファーム。
手はじめに。
大切なお知らせ。
以前の記事
2012年 05月2012年 04月
2012年 03月
more...

