熊谷産業、全員無事。
ひと月ほど前、町内の銀行で、茅葺/スレート屋根施工の専門会社、(有)熊谷産業の秋雄社長とばったり。しばらくぶりのことで待合の間に話もはずみ、「おもしろいことやろうぜ」と合意した話を重ねるために、社をたずねた。北上川の河口から4km弱の堤防沿いにある。
この男、名前通りクマのような風体なんだけど、見た目に反比例してセンスがいい(笑/同い年である)。彼が直に大工や職人たちに発注し、改修した事務所は、木やスレート、古材をきっちり使いこなしてとても良くまとまっていた。
そんな彼が「見せたかった」建物が、河口のある追波湾に面した白浜集落の、とある家。かつて駐在所だった建物を取り壊される前に購入し、改修したという。僕もひと目で気に入った。薪のほかに何でも燃やせるストーブがある土間、和室、台所、ていねいに造りこんでいる。
「いぃんじゃないの!」
「でしょ!森まゆみさんなんかも貸してくれっていうのよ」(交友が広いのだ)
その家の前は、道を一本と2m弱の防潮堤を挟んで、白浜のおだやかな砂浜が広がっていた。3月11日の14:46までは、確かにおだやかだったのである。
津波は白浜の集落を跡形もなく消した。高さ6mの堤防に守られていた釜谷崎集落も、熊谷産業もろとも瓦礫に変えた。
3月18日、ようやく熊谷秋雄さんと電話が通じた。
「社員もその家族も全員無事だよ」
良かった。失くしものはあまりに大きい。けれど、「結」によって営まれてきた茅刈りと屋根葺きを、企業として起こした彼の気骨は、津波でもさらうことができなかった。きっと再起するであろうことを、僕は疑わない。
「おもしろいことやろうよ」と言ったその話は、いまはおあずけ。いつか、披露できる日がくるといいなあと思っている。
この男、名前通りクマのような風体なんだけど、見た目に反比例してセンスがいい(笑/同い年である)。彼が直に大工や職人たちに発注し、改修した事務所は、木やスレート、古材をきっちり使いこなしてとても良くまとまっていた。
そんな彼が「見せたかった」建物が、河口のある追波湾に面した白浜集落の、とある家。かつて駐在所だった建物を取り壊される前に購入し、改修したという。僕もひと目で気に入った。薪のほかに何でも燃やせるストーブがある土間、和室、台所、ていねいに造りこんでいる。
「いぃんじゃないの!」
「でしょ!森まゆみさんなんかも貸してくれっていうのよ」(交友が広いのだ)
その家の前は、道を一本と2m弱の防潮堤を挟んで、白浜のおだやかな砂浜が広がっていた。3月11日の14:46までは、確かにおだやかだったのである。
津波は白浜の集落を跡形もなく消した。高さ6mの堤防に守られていた釜谷崎集落も、熊谷産業もろとも瓦礫に変えた。
3月18日、ようやく熊谷秋雄さんと電話が通じた。
「社員もその家族も全員無事だよ」
良かった。失くしものはあまりに大きい。けれど、「結」によって営まれてきた茅刈りと屋根葺きを、企業として起こした彼の気骨は、津波でもさらうことができなかった。きっと再起するであろうことを、僕は疑わない。
「おもしろいことやろうよ」と言ったその話は、いまはおあずけ。いつか、披露できる日がくるといいなあと思っている。
by kawa-usso
| 2011-03-22 20:11
| 震災を越えて。