雪も嵐も踏み越えて.

【〜完成した熊谷産業の南釜谷崎倉庫と、カヤの船】
 この夏、石巻市北上町に、ちょいとユニークな建物が登場しました。北上川でカヤ(新聞表記等ではヨシ。でも地元で慣れている呼び名を使います)を刈り、全国で茅葺き屋根をつくる、「古くて新しい」サスティナブルな屋根施工社、熊谷産業の南釜谷崎倉庫です。この場所は津波で熊谷産業を含む26軒が跡形もなく流されましたが、そこに戻ってきた最初の建物なのだ!
 ご覧のとおり、コンクリート基礎以外は全木造のトラス倉庫。下町の工場とか味噌・醤油の醸造所とかで見たことはありませんか?  三角支柱で屋根を支えるのがトラス構造です。外壁は1寸厚(3cm)の焼き杉板✕二重張り。屋根はスレート葺きです(熊谷産業はスレート施工も手がけます。津波で社の全資産を失った直後、最初にやった仕事は自社のことではなく、東京駅復元用に使う予定だったスレートの、潮と泥を洗い落とし、送る作業でした)。
 熊谷産業はいちおうウェブサイトもありますが(http://www.kayabukiyane.com/)、それほど重視していないのか面倒くさいのか(笑)、リアルタイムでないし見せ方も……ムニャムニャ。わたくしも建設中から出来る限り足を運び、プロセスを見てきましたが、これまで自分のSNSでは発してきませんでした。んがしかし、この8/30〜31日に、完成以来初めてのイベントが催されました。単なる倉庫としてだけでなく、追波湾エリアの「ムラづくり」を目指して様々な催しに使われ、発信していくようです。なので、いつまでも黙している段階ではありません。手始めに、当方がSNSでお送りします。
 完成までの道のりは、これトライアルとトラブルの連続でした。材の一部は、周辺の山から重機を使わず馬によって搬出する「馬搬」で伐りだされたものです。しかも今年2月に上棟したのですが、その数日後に未曾有の低気圧で吹き荒れた暴風に、あっけなく潰されてしいました。大雪で筋交いを入れる作業ができずに上棟を迎え、しかし屋根はかかっていたために大きな応力がかかり、一気に倒壊したのでした。
 さていったいどうするのだろうかと思っていたら、一度解体し、破断した部分を伐り除き、短い材は継いで再利用すると、社長と設計士は結論づけたのです。
「全木造にしたのは、数十年後に再利用するため。それがたまたま早くきたと思えばいい」。かくして設計士は、被害を受けた構造材の9割を再利用して再建しました。エライ!
 8月最後に催されたのは、子どもたちでカヤの船を造り、浮かべようというもの。熊谷産業の関連ムラづくりNPO りあすの森 主催で、メソポタミアの時代からあったといわれるカヤの船を2隻を作り上げ、北上川支流の皿貝川に浮かべました。今年の夏は31日が日曜日で、なんか切り上がりがいいですね。ピリオドがきっぱりしている。
 熊谷産業の現在の社屋は、あくまでも仮事務所。
 http://streambank.exblog.jp/13862712/
 http://streambank.exblog.jp/15685132/
いずれ南釜谷崎に再建する、と社長は言ってます。どのように変わっていくのがか、愉しみであります。
by kawa-usso | 2014-09-01 19:27 | 震災を越えて。


ササニシキ偏愛の米農家兼フリーライター。みやぎ石巻(本宅)&いわて花巻(小屋)……長大な北上川河畔の南北拠点から、東北6県の[農林漁業と食住の文化]を観て聴いて報告する「じぶんメディア」


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