【にっぽん・食の哲学塾】

ちと長いっすよ。

シーズン・ワンが東京で催された「哲学塾」。
シーズン・ツーは、「鳴子の米プロジェクト」の膝元、鳴子温泉郷で開催された。テーマは「つながろう 食・農・温泉 観光の未来へ」

 講師はもちろん結城登美雄塾長(民俗研究家)、宮城大学事業構想学部の宮原育子教授。ディスカッションでの露払いに、農文協の季刊誌「うかたま」中田めぐみ編集長の、食の作り手を取材しつづける現場からの報告という布陣。

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 結城さんは「鳴子の米から鳴子のごはんへ」と題して話された。鬼首の冷涼な環境でこそおいしく育つ米「ゆきむすび」と、それを1俵2万4000円で買い支える仕組みのプロジェクトは、10年目。この1月、鳴子を遠く離れた東京神田に、ゆきむすびで握ったおむすびの店がオープンした。必要な食べ物の99%を集める、農政を含めたこの国の行方を決定づけているまちに、である。そのきっかけになった、大学生として米プロの農作業体験に参加し、卒業しておむすびチェーン店に就職し、社長を動かしたOLさんの存在を結城さんは明かした。

a0118120_11383477.jpg そして「そこで鳴子よ」と、膝元に課題を投げかける。
「ゆきむすびを、おいしいごはんに変える力はあるか」と。
 米はあくまでも素材。それをおいしいごはんに変えてこその食材なのだから。(ごはんとは食事、食の事である。おままごとである。話を聞きながら、昨年読んだ中で一番お気に入りの本・石牟礼道子の『食べごしらえ おままごと』を思い出していた)。地元でゆきむすびのおむすびを提供する店「むすびや」は、惜しまれつつ閉店した。食べられる店、宿、米を買える店の広がりに課題がある。鳴子の人よ、旅館よホテルよ、「炊き込み、寿司、丼、もち……なぜ多彩なごはんの世界を提供しない」という問いかけだ。

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 いつもながらの結城節につつかれて踊らされて(笑/いい意味で!)、おいしい愉しい妙案がぽこり、ぽこりと参加者から上がった。中には「ほんとかよ」とみんなで大笑いする食の人体実験レストランまで(お客様で人体実験するのでなく、地元の年寄りで人体実験済みの[尚笑]良いごはんを提供する)。これからの展開が実に頼もしい。哲学塾でありながら、哲学では終わらずに方法論、具体策までその場で考えてしまう。結城地元学の真骨頂ですな。

 「ごはん」が人を呼びこむ力で、鳴子を「食のある風景を旅する土地にしよう」と結城さんは新たな方角を示した。
 それは中田へんしゅうちょが鳴子米プロの取り組みをはじめ東北各地の『うかたま』取材記事を紹介しながらまとめた「私が鳴子に来たくなる理由」に呼応する。
 ・おいしいごはんがあるというだけでも魅力。
 ・田んぼ(食べ物が生まれる場所)の風景が広がっている
 ・♨、こけしなどのプラスαな魅力がある
 ・会いたい人、魅力的な人がいる
 ・その人が握ったおむすびを食べたい (以上、要約)
 おいしいものがある場所には、おいしい風景、光景がある。いろんな意味で「おいしい人」がいる。いや時系列で言えば順番は逆かもしれない、人が自然にさえはたらきかけておいしい風景をつくる。おいしいものをつくるのだ。

 さて、鳴子の食(ごはん)は誰にとって最も大切なのか? そう問うならば他でもない、鳴子の人にとってである。僕にとっては、僕が生まれた石巻市の、追波湾域の食が最も大切なのであり、またそうでなければならない。地域それぞれの食が、そこに住む人それぞれにとって一番大切。これは食の憲法と言ってもいいのではないだろうか。では鳴子が食で外の人を呼びこむ意義はどこにあるのか?結城さんはこう続けた。
 「それぞれの食を、鳴子で語ろうや。そういう場にしようや」

 食べたいものは食べたいときに買って食べる、足りているなら「それでいいのだ」と自信満々に言う人もいる。東京や仙台といった大都市に多いと言えるが、食っていながら食の背景?そんなもの我知らぬの人は田舎にだっている。あえていうなら、「食のふるさと」がない人たちである。けれど中には生まれつきで、あるいは仕事や生き方のために、食のあるふるさとで暮らせない人もいるはず。そんな人たちにも、決して仮初でないふるさとは作れるぞ、つながれるよと呼びかけているのだ。

 それを鳴子のこれからの仕事にしよう。鳴子だけでなく、田んぼや畑を耕し、海を駆ける人のたちの仕事にしようやと。
by kawa-usso | 2015-03-02 11:45 | FOOD×風土@とうほく


ササニシキ偏愛の米農家兼フリーライター。みやぎ石巻(本宅)&いわて花巻(小屋)……長大な北上川河畔の南北拠点から、東北6県の[農林漁業と食住の文化]を観て聴いて報告する「じぶんメディア」


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